株式会社ゆろろんの「事業内容」
会社の「目的」規定の形骸化
名刺などをお渡しするときに必ず聞かれるのが「何をやっている会社ですか?」という質問です。
会社には必ず定款というものがあり、その中に「目的」規定が存在します。
当然弊社にもそのような規定が存在します。
しかし、目的規定の最後の項には「前各号に附帯関連する一切の事業」と入れるのがお約束になっています。中には「その他適法な一切の事業」「その他商業全般」とする会社もあるそうです(「その他適法な~」の例として有名な会社ではエーザイ株式会社)。
つまり、要はなんでもできてしまうのです。
個人でも複数の仕事をするのが当たり前の時代
目的規定は登記事項になっており、なくしてしまうことはできません。ではなぜこのような規定が存在するのでしょうか。
その昔、商売といえば一つの種類のものを売るのが当たり前でした。八百屋さんなら野菜を売り、呉服屋さんなら反物を売る。それらは徐々に大規模になっていきスーパーや百貨店になっていきました。商品の種類は増えても「モノを売る」ことには変わりがなかったので「ウチの会社は『小売業』です」ということができました。
しかし今はどうでしょうか。電化製品を作っていた会社が銀行をはじめ、写真フィルムを作っていた会社が化粧品を作る。そのような企業を〇〇屋さんというには限界があるでしょう。この流れは中小企業や個人事業主でも同様です。芸人が飲食店を開いたり、タレントがアパレルショップを開いたりというのはもう当たり前になっています。
国でも「複業」を推進しています。かつての「副業」と異なり、複数の本業を持つことをいいます。この言葉を初めて聞いたという方はぜひネットで検索してみてください。
「事業内容」なんて決めなくてもいい
さらに、もっと推し進めて考えたとき、この「本業」という概念がそもそも必要なのかという疑問が出てきます。サラリーマンやアルバイトであれば「A社とB社に努めている」ということができると思います。しかし、会社や個人事業主を考えたとき、果たしてそんなにはっきり「〇〇をやっている」といえるでしょうか。
例えば八百屋さんを始める人を考えてみて下さい。商店街の一角を借り「ゆろろん青果店」という看板を掲げて商売を始めたとします。ところが近隣にスーパーができ野菜が売れない。そこでレストランを併設して新鮮な野菜を活かした料理を振る舞った。せっかく料理を出すなら食後においしい紅茶を出そう。そこでこだわりの紅茶を仕入れたところ評判になり茶葉の通信販売を始めた。通信販売を始めるにあたりオリジナルキャラクターを作ったところこれが子供たちのハートをつかみイベントで引っ張りだことなった。現在の収入はイベント関連が3割、通信販売の収入が6割。さて、「ゆろろん青果店」は何屋さんでしょうか。
知名度で考えればオリジナルキャラクターの管理会社になるかもしれないし、収入ベースで考えれば通信販売業となろうし、店の商号で考えれば八百屋さんということになるでしょう。
もうおわかりでしょう。「事業内容」という概念は今の時代にはもう合わないのです。
会社の「自己紹介」の方法
ではどのように会社の自己紹介をすればいいでしょうか。こんなことを言っては身もフタもありませんが、結局は「経営者の考え次第」だと思います。
先の「ゆろろん青果店」の例で行くと、このオーナーが「いくら売上は通信販売でも八百屋をやりたくて始めたのだからウチは八百屋だ」と考えれば八百屋になるでしょうし、「今は事業の中心が通信販売なのだから」と考えれば通信販売業者になるのです。
さて、弊社の場合はどうか。IT、コンサル、教育と様々な事業に取り組んでまいりましたが、これだ!というものは正直ありません。
こう言ってしまうと甚だ無責任なように聞こえてしまいますがそうではありません。「ウチは〇〇屋だ!」というのもひとつ経営の柱になりうるものだと思いますが、必ずしもそれだけではないと思うのです。弊社には〇〇屋がない代わりに「ウチは〇〇をやりたい!」という夢があります。
その内容については次回お話します。(→続き)